奥の細ぶち

日々雑感

DIALOG IN THE DARK

150623_1真の暗闇を体験したことがありますか?たいていは夜でもどこかに街灯があったり、月や星が出ていたりとなかなか真っ暗闇というものに出会うことが無い生活をしている方々が大半ではないでしょうか?ところが、本当に何も見えない真の暗闇がこの世にあります。先日私が体験してきたイベント、ダイアログ・イン・ザ・ダークというのがそれです。

 

このイベントはビルの地下室に人工的に光を遮断して作られた完全な暗闇の中を、数人がグループを組み暗闇の探検と様々なシーンを体験するというアトラクションです。私たちは4人のグループでしたが、一人の暗闇エキスパート(視覚障害者)の方がアテンダントとして私たちの暗闇体験をサポートしてくれました。私はお化け屋敷など、どちらかというと暗闇は苦手であったことを思い出し、微かな後悔を感じつつかなりドキドキしながら暗闇の中に入っていきました。

 

すると、凄いです。ホントに何も見えません。私は入った瞬間びっくりして足が固まりこれ以上一歩も踏み出せなくなってなってしまう軽いパニック状態に陥ってしまいました。でも、大丈夫、そこはさすがに暗闇エキスパートさんです。やさしく、でもしっかりとした声で私たちを導いてくれます。しかも、始めて出会ったグループの方々も手を差し伸べてくれたり声をかけてくれたりで私はすぐに平静になってゆき、始めはとげとげしかった暗闇が徐々にやわらかく感じられるようになっていきました。
さらに落ち着いて視覚以外の五感をフルに使い周りを感じてみると、草や枯れ木で敷き詰められた床の感触や水の流れやカエルの鳴き声の音などが聞こえ、懐かしいような温かいようなとても満ち足りた気持ちになっていく自分を感じました。すると周りの人の顔や物が何も見えない暗闇は普段感じることができない快い解放感に浸れる場となっていきます。
この後アトラクションはグループの方々とコミュニケーションをとりながら畳の部屋でちゃぶ台を囲んだり、芝生の上で寝転がったり、さらには暗闇の中のカフェでお茶を飲んだりします。この間アテンダントを含めたグループの方々とは、お互いの顔が見えないことが幸いしてか、自分たちの日常のことや目指している目標のことなどを話し合ったりしてとても親密感のある関係を作っていくことができました。

 

面白いのはどのシーンにおいても、いつもの日常生活の中では私たちがサポートする視覚障碍者の方が暗闇の中では私たちをサポートしてくれるという逆転現象が見られるということです。周りの状況のちょっとした変化は私たちの立場をあっという間に変えてしまいます。このことに私はある種の驚きを感じました。つまりこれは、いつもの仕事や生活の中で普段は自分の経験や見ていることだけに頼りがちになってしまう私たちですが、日々変化して動いている社会状況の中では立場の異なる色々な方々の意見やサポートを積極的に受け入れることで、より充実した仕事や生活ができることなんだと思います。

 

このイベントの内容についてはもっといろいろとあるのですが口ではうまく説明できないので、興味のある方はぜひ体験してください。かなり貴重な経験になることは間違いないと思います。

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