奥の細ぶち
日々雑感
富岡製糸場
この半年、公私ともにあわただしく過ごしておりました。最近やっと落ち着き、ブログ再開です。
メーカー企業(=ものづくり企業)の社長の私にとって、明治期の殖産興業時代を切り開き日本の近代化の礎を築いた富岡製糸場は偉大なる先達として畏敬すべき対象だと考えています。以前より見学したいと思っていたのですが、ようやくその機会ができました。
第一印象は入口正面に立つ繭倉庫、そのレンガ造りの建物がとても美しいこと。後で聞くと設計はフランス人で作ったのは日本の職人さん。材料も日本のものが使われているそうです。もちろん当時のことですからメートル法など分かるはずもない職人さんたちはこれを尺貫法に直して組み立てるということをしたそうです。レンガの目地には古来よりの漆喰が使われ、その和洋折衷加減が絶妙に美しい外壁を作り上げています。
実際の絹糸を作る繰糸場に入ると柱を立てない構造の建築様式の広い作業場に、操業が停止された昭和62年当時に使っていた自動繰糸機がずらっと並んでいます。さらに、当時のことですから電気もままならず自然光をうまく取り入れるように工夫されたガラス窓のおかげかこれも独特の雰囲気を醸し出しています。こんな統一感、一体感のある作業現場を見ていると心ある製品とはこういう現場から生まれるのかと感じます。多分これは当時の人々が世界に追いつくための強い意志があらゆるところに刻み込まれた美しさなんだと思います。
私も社長として製品に対する強い意志を込めなければと、決意を新たにいたしました。
あと製糸場とは関係ありませんが、帰り路のお土産屋さんで売っている「かりんとう饅頭」もとってもおいしかったです。これも、ものづくりの伝統のなせる技のひとつですよね。